安価かつ耐熱性、耐火性、防音性に優れているという理由で、昭和30年以降に建てられた建物などに多く使われていたアスベスト。近年ではその健康被害が叫ばれるなか、遺族などが国を相手に訴訟を起こすケースは後を絶ちません。
残念なことに、解体工事をすれば、アスベストに纏わる不安が完全に払拭されるというわけではなく、解体工事の前のアスベスト除去工事が重要になってきます。ここでは、解体工事前に行うアスベスト除去工事について解説します。
なぜアスベスト除去工事が必要なのか?
なぜ解体工事の前のアスベスト除去工事が重要であるのかと言うと、その答えはアスベストの性質にあります。アスベストは飛散しやすい繊維状の物質であり、除去作業を施さないまま解体工事に至った場合、建築材料に含有されるアスベストが飛び散り、近隣に悪影響が及ぶ恐れがあります。
アスベスト除去工事では、アスベストの飛散防止に有効な集塵・排気装置を施工区域内で稼働し、粉塵飛散抑制剤を散布しながらケレン棒で吹き付けアスペクトを掻き落としていきます。
さらに、アスベストの廃棄方法についても注意が必要です。前述の通り、アスベストは飛散しやすい物質です。除去作業により発生したアスベスト含有廃棄物は念には念を入れて、丈夫なポリエチレン製の専用袋による二重梱包や無害化処理のうえで埋立処分する必要があります。